“エンカウンター”それは、私にとってまだ味わった事のない未知の世界。
参加しようと決めた時から、自分の心に何が湧くのか、どの様に気持ちが動くのか、そんな期待や不安を抱きながらの初参加であった。
まず、その中で、一番の衝撃は、なんと言っても「沈黙」
ちょっぴり小耳に挟んでいた噂の沈黙が、初っ端からやって来た。
初まりの言葉もないままに・・・
静かなのんびりとした時間の流れ。
外では車の走る音が・・・集中すると、大型車や小型車のエンジンの音、信号で一旦流れが消える。数十秒で動き出し、規則的な音の流れが、BGMとなって私の耳に届く。
目をつぶると、周りに居る人達の息遣いや身体の体勢をかえる音。
お茶を啜り、お菓子を食べる音、隣の人の体温、そこに流れる空気の波動。
その全てを感じたくて、身体を委ねる私。
空気の波動は私の肌にそっとふれ、体の隅々までゆき渡る様な、そんな感覚で浸透して行く。
静寂な流れの中で、緊張から心が解き放たれ居心地の良さと変化して行く不思議な世界。“今、ここで”しか味わう事の出来ない沈黙の世界、私の世界。
「沈黙」は、私にとって穏やかに包み込んでくれる安全な時間の流れ、そう実感出来た時、ここで湧きあがり、動き出す私の心は、本当の自分であると確信した。
次に、「関わり合い」
他者(一人の人)が動き出した自分(心)を語り出す。そこに、もう一人、又一人と、数人の他者がその方に関わりを持った時、初めに語り出した人の心が様々な方向へ動き出し、新たなその人が生まれ出る。
自分自身(その人)が自分の魂にふれた時、私自身(聴き手)の魂もそこに共鳴し、動き出す。
たった一人きりでは決して追求して行く事の出来ない、援助の関係なしでは、なし得ない自己一致。そして、そのプロセスを体験しているその人を感じた時、私の涙は、同情ではないと確信した。
優しさや弱さでもなく、純粋に、その方の魂にふれた時、真の世界にふれた時、私の魂が涙となって流れ出るのである。
そして、自分自身もまた、他者を通じて自己一致して行く姿を感じる事が、出来たのである。
エンカウンターの醍醐味(味わい)を感じた瞬間であった。
四日間のエンカウンターで感じた事は、全ての人が、話している人の話しを聴いている時、一人ひとりのところで心が動き、自分の枠を持ちながら、感じているという事。
そして、関わり合いを持たせて頂く時、傾聴させて頂く時は、自身を無心にし、相手のところで話を聴かせて頂く、それによって他者の中で起っているのか、自分の中で起っているのかをしっかり区別して考え、感じられる様な、そんな感覚を学びとる事が出来た様に思う。
ここで感じた貴重な学びをしっかり胸に刻み、これからに繋げて行きたい。そんな思いでいっぱいになった。
《N・S》