先生から文章を書く機会を与えていただいたので、調子に乗って書いてみる。
けっこう前のことだが足に怪我を負ってしまった。怪我自体は早くに治ったのだが、その後、刺激に対してすごく敏感になり、足自体にも異物感が残ったまま違和感が続いている。正直、心地よくないし、異物感も早くなくなればいいと思っている。
怪我の先輩でもある友人に「異物感が取れないんだけど、どのくらい経てば治るのか」と聞いてみた。
彼いわく、「その違和感は治らないよ。怪我をする以前と同じには戻らないよ」とのこと。
「元には戻らない」というあまり嬉しくはないはずの、その答えが、私には安堵と、ちょっとした嬉しさになった。もう、元に戻るかどうかを気に病む必要はないことが嬉しかった。
起きてしまったことは、それが起こる前には戻れない・・・・。
人間の体には「再生力」があるけど、それでも怪我をする前と同じには戻れない。
心の傷もたとえ傷が癒えたとしても、乗り越えたとしても、傷つく前と同じとはいえない。
一旦起こったことは、無かったことには戻せない。
単純に当たり前のことなのに、時間は別としても物事に関しては戻せると、私は思っていたようだ。
多分、躍起になって自然の摂理にもがいてきたのだと思う。
事が起こる前には絶対に戻れないし、同じにはなれないということ。
元に戻ろうと努力したって時間も事象も戻らない。
人生はいつも、今ここからしかやり直せない。
もう、戻ろうとしなくてもいい。
元に戻すのでなく、今の状態から新たに造るしかない。
なんてすばらしいんだろう。
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