小人数のグループ制の学習会では、毎週聴き合い伝え合いが実践的に体験学習として繰り広げられていま す。
聴き方講座講師 若狭のコメント及び声がけ
学習会は、資料や専門的な教材を幅広く使用しますが、決して受身的な勉強ではなく、毎日の暮らしの中で起き心に残ったこと、受け止めがたいこと等を『話を聴かせて戴く』『自分を語る』こと等をとおして、共に育つ場として開催されています。学びを続けることで、自身が精神的安定をもちながら社会に適応しつつ、自立した人間として成長されていくのは勿論のこと、他者に対しても、十分に援助の関係が持てるよう体験的学習要領になっています。
受講生は、主婦は勿論のこと、医療関係者・介護事業関係者・就労事業関係者(支援員)・福祉関係の各相談員・一般企業の職員等と多彩です。受講者の皆さんは、それぞれの関係の中で、周りの人々に明らかに望ましい影響を及ぼしています。
学習会で話されたことのほんの一部をご紹介致します。
◎ ソーシャルワーカーAさん(精神科デーケァ担当・学習会参加12年以上)
11月の出来事。デーに通って来ている患者様が、他の職員に「通所施設にサボテンを持ってきたい」と言う話をしていた。勿論私物を施設内に置くことは出来ないので、その話はなかったことになった。しかし今迄ほとんど自分から話すことがなかったし、なかなかうまく話せないでいるその患者様が、なぜその話をしたくなっているのかを分かりたくて、声をかけお話を聴かせて戴いた。
サボテンを見ていると、自分のように思える。
デーに行く気になれないが、自分に会うためと思うと、施設に通ってくる気持ちになりやすくなる。
以前に職員の人が施設に置いてある植木鉢に「「お前は水がもらえなくてかわいそうに…」と言いな
がら水を挙げているのを見たことがある。だからその植木鉢の隣に置いておきたい。
今 ワーカーさんに声をかけられて話すと、言葉には力があると思った。云々
その後もなかなか言葉はスムーズに出ないが、人の話をずれることなく聴くことができる人なので、板書する係をしてもらっている。少しずつ変化していく様子が感じられ楽しみだ。
◎ 介護職S子さん
短い時間であったが家族の人の話を聴かせて戴くことがあった。
「こんなに自分の話をキチンと聴いて貰ったことは、過去にはなかった。なにか、勉強しているのですか」
と言う言葉を戴きました。
カウンセリングの学びの中で、最も基本的で、最も難しいと思われる『相手の内側から分かろうとする態度・聴き方』がなければ、いずれの場合も、このような展開にはならなかったと思います。相手に畏敬の念をもちつつ、添って分かりたいと言う気持ち、態度で接していたからこそ、相手の人は、自然と自由に自分を語ることができたのでしよう。それにしても、人の心の世界は、凄いものがあります。人が刻々と変化し、自分になっていくプロセスを共に味わい観る時に、こちらも多くの感動を覚え、私も私になっていくのを感ぜずにはいられません。
『学ぶ力』は学び取っていく、その人の中にあります。相手が『学ぶことのできる人』だから『教えることができる』のだなぁ・・・?つくづく思います。