小人数のグループ制の学習会では、毎週聴き合い伝え合いが実践的に体験学習として繰り広げられています。
聴き方講座講師 若狭のコメント及び声がけ
学習会では、カウンセリングの学びを中心としながら、描画法による表現療法・コラージュ療法・箱庭療法の体験学習や研修も行われています。中でも描画法による表現療法は、二カ月に一度定期的に行われています。また三級の資格取得者が、交代で世話人の実習体験の場としていく、機会にも当てています。
この表現療法は、カウンセリングの中で相手の状況を見ながら取り入れていったり、他機関の職員研修であったり、少人数の体験会であったり、各デーケァにと、様々な処で、利用・応用し行われています。
以下実際の場面で描かれ時の状況と、心の動きのほんの一部です。
① 「カウンセリングに抵抗があります」と言いながら、しっかりと握りしめられた自分の左手を描た20代の女性
② 雨合羽を頭からすっぽり被り、二つの目と赤い長靴をはいた足だけを出して、体全体を覆っている。雨の中を歩いているが、雨は自分の処にだけ降り続けている。20代男性
③ 夜道、石垣のとても高い土台の家々が並ぶ道を、自分が雨に打たれながら歩いていく後姿が描かれていた。すぐ近くの電信柱の下には、骨の折れた傘が一本捨てられている。自分が捨てた傘とのこと。
④ 周りの人達が描いているのに描かない人が居たので、声をかけてみた。
「小学生の頃から他の人が居る場所では、絵が描けなかった」
「小中学校では、家に持ち帰って、宿題として次の日に提出していた」と話してくれた。
「楽しいって色で例えると、どんな色かなぁ。どんな形かなぁ・・・」等と、私(若狹)の方から語りかけ、そのまま描いてもらった。次々にピンク・水色・黄色と様々な感情が円く、円く表現されていった。
「こうして描いても良いんですね。」
十数年ぶりに人の中で描いた時間であった。
⑤ 「親に話しても分かってくれないし、怒られるだけだから、話はしない」 「腹が立ったら好きな音楽を大音量でかけて、自分の中で納めている」とぶっきらぼうに話す。
「話すのは苦手だから絵をかきたい」こちらから課題を出さないと、固まってしまったように動けない。
「左手で目に留まったクレヨンを取って、手の動きにまかせて・・」と伝えると青色で紙一杯を塗りつ
ぶしていった。
なすがままにしていると、アニメの主人公を描き始めた。「鉛筆で描きたい」と言って三枚目を書き始める。
別のアニメの主人公を手慣れた様子で、描いていく。「いつもノートに書いているの」と教えてくれた。
「自分を表現しても良いんだね…」と言葉になった。ここ迄やって来るのに4か月が必要であった。