あられが降った日の出来事
10月20日朝早く犬の散歩に出かけました。雨模様だったので、身支度もそれなりに整えました。しばらくすると雨粒が、白い粒に変わり、黒柴の頭の上に数粒留まっています。「冬が、やってきたねぇ」等と犬に話しかけながらいつもより急ぎ足で家に帰りました。途中高齢のご夫婦と思しき二人ずれとすれ違いました。「あられが降って来たよ。」と女性が伝えるとその返事が「寒いからだ。」でした。「それは分かっているよ」と小さな声で女性はつぶやきました。
その後私の中に「それは分かっているよ。」とつぶやいた女性の心音が残り続けました。
「あられが降って来たよ。」と伝えたかった『人の気持ち』とその現象を起こしている「寒いからだ。」という『原因を説明』している返事。日常何の振り返りや検討もなく咄嗟に言ってしまいがちなやり取りではあります。もし女性の言葉の中に『どうして雨があられになるのか…?』という原因を探しての言葉であるならば、まさしく『寒いから(気温が低い)』が妥当と言えます。しかし気持ちを伝えたいのなら『分かってもらえないなぁ‥‥』と虚しさが残ってしまいます。
言葉は何かを体験して動いた気持ちの一部を表現しています。そのわたしの気持ちをあなたに伝えたくて言葉を発しています。そして、受け取ったあなたの気持ちと分かち合えたならもっと気持ちが満たされるのに‥‥。
言葉はその時の関係性で瞬間に反応して発せられるし、瞬時に発せられるからこそ人柄が出てしまいます。『口は禍の元』と言う諺がありますが、話し手ばかりではなく聞き手の受け取り次第でも随分と心のすれ違った会話になってしまいます。
「あられが降ってきたよ」 「寒いからだ」
「寒くなってきたね」 等々
あなたなら咄嗟に何て応じるのでしょうか ?!
いつものことながら、『他人の振り見て 我が振り直せ』が、やって来ています。
(若) 令和6年10月28日 筆