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2021/03/15

こころの音色 ~日々の暮らしの中で~ 29

「新しい自分」 

 

 

私は1年程前から、趣味として羊毛フェルトを始めました。フェルトにチクチクと針を刺しながら動物などの形を作っていくものなのですが、意外にもこの作業が自分に合っていました。何が合っているかというと、無心でチクチクと針をフェルトに刺している時は思考の世界(頭で考える事)ではなく、刺す作業そのものに意識が向かい頭を休める事ができるからです。

 

羊毛フェルトをやっている事を周囲に伝えて、自分が作った作品(主に猫が多い)を知人に見てもらうと、大抵は「あなたが自分で作ったの?奥さんじゃなくて?」と、驚きというか意外だという様な反応が返ってきます。(私の見た目や雰囲気はフェルトをやる様な感じではないのか・・・)

 

羊毛の作業をやる様になってから気がついた事があります。それは、頭を使わず夢中になれる作業の時間を通して、思考(頭)を使う時間が少なくなり自分の中にゆとりが生まれるという事です。ひたすら無心にチクチクと針を刺している時は良いのですが、自分の中に欲が出てきて「上手く作ってやろう」などの思いが湧き、「上手くいかない・・・」など考え始めると逆に作業がストレスになっていきます。そのため、羊毛フェルトは上手な作品を作る事を目的とするのではなく、黙々と針を刺して針がフェルトの刺さる感触を楽しむ程度で行う様にしています。不思議なもので、回数を繰り返すうちに自然と上達してきました。また、今まで触れていないフェルトの分野が趣味に入ってきた事で、他者と会話する際の話題がひとつ増えたのも喜ばしい事でした。

 

今は大好きな猫も昔は大っ嫌いで、学生の頃から猫の話題が出ると自然と「自分にはわからない世界」と背を向けていました。猫を大好きになれた事で、羊毛フェルト同様に他者と猫を通した話題から新たな人との関りが生まれています。フェルト作業も猫と同様に「私には縁のないもの」と決めつけて遠ざけてきた過去がありました。自分の中で嫌いと思っている事でも、やってみたら案外自分に合う事って多いのかもしれないですね。

2021.3.11 (成)