北海道百年記念塔の解体が、新年度着工するという記事が、2月17日付の北海道新聞朝刊の一面に掲載されました。記念塔は道立野幌森林公園内に、北海道命名100年にあたる1968年に着工して2年後に完成した、とあります。
私は1971年秋に結婚しました。当時は結婚を機に退職し専業主婦になることがあたりまえでしたが、札幌に住む夫に合わせ、職場に異動を申し出ました。その赴任先が、道立野幌森林公園施設管理事務所でした。事務所は北海道開拓記念館内にあります。記念塔にも何度か足を運び、圧倒されながら感動を持って見上げたものです。当時はアルバイトの女性が2人いましたが、20名ほどの職員は皆男性で私が一番年下でした。しかし「若狹の母さん」「若狹の母さん』と馴染んでいない名前で呼ばれながら、穏やかで充実した職場でした。
折しも1972年2月3日から2月13迄、札幌市で冬季オリンピックが開催されました
現在 上皇様上皇后様になられました当時は皇太子様ご夫妻が、オリンピックに御臨席される一方、北海道開拓記念館にもお立ち寄りになられました。その折に紅茶をお出しする任が私ともう一人の職員に与えられました。グランドホテルまで出かけ、マナーの指導を受けました。一人の人が紅茶をお盆に乗せ運び、私が直接テーブルにお出し致しました。
ご夫妻は並んでお座りになっておられました。厳粛で大変静かな空間でした。美智子様は、それはそれは、透き通るようなお肌をされていて、何ともお美しく、お優しい声で「ありがとう。」と私と目を会わせて小さく頭をお下げになりました。ピンクがかった薄いベージュのお召し物でした。
私にとっては一生に一度の大きな出来事です。
あれからちょうど50年の年月が流れました。
2022年の今年、2月4日から2月20日迄北京にて冬季オリンピックが開催されました。テレビで繰り広げられる選手の皆さんの活躍に感動をしながら、北海道百年記念塔の記事を読み返しました。50年前の出来事と重なり、時を超えて廻って来る何か … 偶然ではない何か … 。言葉にして固定することのできない不思議な感覚を覚え、味わっています。
退職してからは、一度も野幌森林公園には足を運んだことがありません。景色も記念館も記念塔も、職場での様子も色濃く50年前のままです。
(若)2022年2月25日 筆