わかっているけど・・・
私は障がいや病気を持つ人々の支援に関係する仕事を行っています。今回は、日々の利用者さんとの関わりの中の一部について紹介したいと思う。
ある利用者Bさんから電話があり「今日も朝に2度寝をしてしまって、仕事に行く事ができませんでした・・・」という内容でした。その利用者さんが私にわざわざ電話をくれたという行動には、その利用者さんなりの思いがあると感じたため、私は相談室で利用者さんから詳しく話を聴かせてもらいたいと言葉をかけた。
相談室でBさんから詳しく話を聴かせてもらうと「一度は布団から出て起きたのに、また布団に戻ってしまった。・・・自分の気持ちの底に、私一人くらい仕事に行かなくても良いやというものがある感じ・・・」という言葉が発せられた。私はBさんが感じている「私一人くらい仕事に行かなくても良いや・・・」という気持ちをBさんに確認した後、「仕事に行く事でどんな良さがありますか?」と言葉をかけた。Aさんから「仕事に行けた日は達成感があるし、何よりも私の居場所が職場にはある。・・・休むと1日ダラダラ過ごしてしまうし・・眠いのはみんな一緒なのに・・・」など語られる。私はBさんに「頭では仕事に行く事で得られる良い事があるとわかっているけど、その考えに眠さが勝ってしまう・・・そんな感じ?」と言葉をかけた。Bさんは「そうそう、そうなんです」と言葉にされる。こちらから「わかっているのに、眠さに勝てないですねぇ・・」と言葉を返す。この時点でこれ以上Bさんが自分を見つめ深める事には限界があると感じたため、頭を使う支援にシフト変更する。こちらからBさんへ「今日仕事に行けなかった理由は、自分の行動の何処に問題があったと思いますか?」と問いかける。Bさんは「一度起きたのに、布団に戻ってしまった事」と答える。そのため、一度起きてから布団に戻らない行動をBさんに考えてもらう。Bさんは「①冷たい水で顔を洗う②直ぐに着替えをする③メイクをする」と、起きてから直ぐに行動する3つを挙げる。この3つが挙げられたため、この3つが書かれたポスターを作成Bさんと共に作成し、部屋の目につく個所に貼ってもらい毎日スタッフと一緒にポスターを見て意識を高める事となった。(ポスターにはBさんが好きなウサギの絵も書き、今のBさんがもう一人のBさんに言葉をかけるとしたら?という事を聞いた時にBさんが発した言葉「しっかりしなさい、眠いのはみんな一緒だよ」という言葉も記入した。
毎日スタッフとBさんが一緒にそのポスターを見る事を通して、Bさんは今日の段階で3日連続けて仕事に行く事が出来ている。(成)