「そうだ!着物を着よう」
今年は着物を日常に取り入れよう…その様に考えたのは、春先だったように記憶している。
今はもう秋…ここにきてやっとその第一歩を踏み出せた。
20代後半に習得した着付け。着れるようになると、新しいものが欲しくなる…そんな沼にどっぷり浸かって揃えた数々の着物たちが、日の目を見る日は限られていて、息子が学校に通っていた頃はそれでも、入学・卒業と着て式典に参加することがあったが、それもなくなった今は、ほぼ箪笥の肥しと化していた。
何がきっかけか、もしかしたら自分の年齢がそうさせるのか…はよくわからないが、これまで余り感じていなかったのに、ふと着物たちがこのまま箪笥の肥しではかわいそうになってきた。
それが冒頭の日常に取り入れようにつながっている。
いざ着てみると、詳細はあいまいだが、手は割と動いて何とか着ることができる。ただ、自分が思い描くようには整っていかない…今の技術ではこれが精一杯なのだとあきらめてそのまま出かけてみる。
自分としては余り納得できていないけど、普段とは違う装いに周囲から声がかかる。それも自分が想像していた以上に好意的な感想をいただけて、なんだか気分もあがってくる。
そんな一連の流れがあると、もう一度曖昧な記憶を取り戻そうと、一時期通っていた月に2回の着付けのサークルも再開することにした。
着物を出すことすら億劫に感じていた頃に比べると、最近は出して準備をしている段階からなんだか楽しい。
着る回数が重なってくると、手の動きもスムーズになってくる。昔取った杵柄が今のものに戻ってくる感じ。
やりなれていた頃の出来栄えも知っているし、これまでの経験も加わるので、見る目は肥えてきて、思うように行かないことにもイライラするが、それも今の自分。自分で習得した技術でも、やり続けていないと、時間ととともに錆び付いてくるということが良くわかる。
せっかくの着物とそれを自分で着て楽しむ技術を活かして、生活に取り入れていくことで、見えてくる世界もまた違った広がりが出てくることを期待している。
2024・10・20(N)