お婆さんの時間
先日、近所のドラッグストアに久しぶりに買い物に行きました。平日の昼過ぎ、お客さんも数人しかいなかったので、色々なコーナーをゆっくり見ていました。洗剤コーナーのあたりでお婆さんに「おせんべいのコーナーはどこにありますか?」と尋ねられました。杖をついてカートを押している姿はなんだかおぼつかなく見えたので、おせんべいコーナーに一緒に行きました。探していた商品は見当たらなかったのですが、お婆さんは「貴重なお時間なのにありがとうございました。」とお礼を言ってくれました。 これまでも道や時間、何かを尋ねられる場面は何度かありましたが “貴重なお時間”という言葉を耳にしたことがなかったので、丁寧な言葉づかいだなぁと私の中に残りました。 その後、また自分の買い物を続けお会計のところに行くと、先ほどのお婆さんが店員さんと話をしているところでした。 「しばらく、外出してはいけないと言われて、出てくることが出来なかった・・」と。
お礼にあった“貴重な時間”という言葉は丁寧な言葉というより・・・・
(ホームにご入居でこのコロナ禍、長期に渡って外出禁止だったと想像できる)お婆さんにとっては、
やっと外出することができて、自分の好きなものを自分の目で選んで買うことが出来る、とても貴重な時間だったんだなと思いました。
お婆さんの思いを感じると“コーナーを尋ねてきた人”“コーナーを尋ねられた出来事”から、ぐっと“そのお婆さんの輪郭”みたいなものが見えてきたように感じた出来事でした。 (S)