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2012/09/02

表現療法研修会での・・・・ あるこころみ

表現療法研修会での・・・・あるこころみ
『自分と他者のイメージを形と色で表わそう


若狹 恵美子

1. 実施要領



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① 事前に画用紙の枠組みを世話人が描いて各人に渡す。 (右図)

② 二人一組になり聴き手と話し手に分かれ一人三分間の質問をする。
三分たったら、聴き手と話し手が交代する。
質問された以外のことは話さないこと。
答えたくないことは、答えなくても良い。

③ 画用紙を交換し、相手のイメージを相手の画用紙の楕円以外の一舛に形と色で表現する。

④ お互いに、自分の描いた相手のイメージを、言葉にして分かち合っていく。

⑤ 画用紙を元に戻して、相手の組み替えをする。

⑥ ②から④を、全ての人と繰り返す。

⑦ 最後に自分の持っている自分のイメージを中央の楕円の中に、形と色で表わす。

⑧ 全体で、気が付いたことや、たった今の気持等を伝え合い分かちあっていく。

一組が実施要領の②から④迄をする時間を、約30分とした。途中の休憩時間を入れて全体が終了するのに、3時間30分を要し た。

2. ねらい・目的


① 一人一人が『目の前の人』と言葉を使って関係をつくり、かつグループ全体の関係をつくっていく。

② 『他者を理解していく』 『自分を他者に伝える』という体験から、相手のイメージは、言葉と共に相手の全体から、自分が感じ取ったものであることを理解する。

③ 相手に抱くイメージは、人によってそれぞれ違い、質問の内容によっても違うことを知る。(質問は、聴き手の知りたいと思っていることの一部であることを理解する。)

④ 相手をより分かろうとすることで、集中力を養う。

⑤ 自分のイメージする傾向を言葉のほか視覚でとらえ自己理解を深める。

⑥ 他者に、自分がどのようなイメージを持たれたのか、視覚と言葉で知る。

3. 全体から

・ メンバーが交代で全員と語り合うので、全体が一つになりやすかった。

・ 質問をして得た答えから、相手を理解することの難しさを実感できた。相手を知るには、答えてくれた内容も含め雰囲気、動作、話し方等全体から自分が感じ取り、イメージされることに気付くのに、時間は余りかからなかった。

・ 質問内容が『好きなこと』等の肯定的方向からが多く、『嫌いなもの、好まないもの』等否定的な方向からの質問はほとんどなかった。

・ 以前から知っている相手であっても、それはほんの一部であり、人は不思議な奥深いものであることを理解した。

・ 全体が、丁寧かつ肯定的に他者をイメージしていた。

・ 一人の人についての色のイメージは、多くは似通ったものであった。

・ 形のイメージは、質問に対する答えの、意味ある具体的なものであったり、複雑で抽象的なものであったりした。

4. まとめ


全員と語り合い、全員から自分のイメージをもらうには、参加人数がちょうど良かったと思われる。最後に自己イメージを中央の楕円に描いて戴いたが、他者からの戴いたイメージが、有難くうれしくもあり等で、『空白にしておきたい』という人もおられた。
一枚の白い自分の画用紙に、他者が色や形を書き入れる等で関わってくる場合、ともすると抵抗感が起こりやすい。事前に肯定的な関係を作る動きを導入すると、安心感や信頼感が生まれ、心の抵抗感が薄れる。グループとしての心地良さ力動が、多いに発動されやすいと考えられる。