７月に行なわれた表現療法でのワークを、２ヶ月経った今、振り返って言葉にしてみたいと思います。まず最初に四季というテーマで絵を描く事に取り組みました。その後、お隣の方とペアになって、描いた絵をシェアしました。この時のシェアの内容は残念ながら忘れてしまいましたが、絵を描いた感想のメモ書きには、このようなことが記されています。「今の季節と四季の感じ。私は岩を掘っているようでもあり、その岩は硬い。険しい急な山を登っているようでもある。 山の上には緑がある。（絵の真ん中に描いた）地球の真ん中にはマグマ、それを包んでいる精神的なもの。そして外側は緑で穏やか。そこからくるくると季節は巡ってい る。」

さて、改めて自分自身の絵を眺めてみると、登るのが大変だと思っていた山登りは、今はなんとかやり終えたという感じです。岩盤は柔らかく感じられるし、私は緑のある頂上にたどり着いています。あの日、困難に感じられた絵のイメージが反転して、今は楽な気持ちで眺めていられます。

けれども、そんな心持はどこから来たのでしょう。多分、自分の中のまだ明確化されていない課題を既にこの絵は知っていたのです。四季を織り成す地球は私に優しいエネルギーを贈ってくれていました。私は私自身の無意識からプレゼントを受け取りました。そしてその絵はどんな絵であれ、その描いた自分自身を肯定しているんだと気づきました。もしそれがちっぽけだなと感じたなら、そうか、ちっぽけな自分なんだねと、優しく置けるような感じです。そこから、又自分のストーリーが始まるような、そんな素敵なプレゼントです。

ですから今までに描きためた絵やコラージュはまさに宝の山です。この絵も見えるところにしばらく貼っておくことにしました。

さて、午後はテープで流された短いお話を聞いて、続きを書くワークでした。それぞれが、思い思いにお話を作り上げていきます。そして書きあげた後、一人一 人文章を読み上げて、みんなで聞いた感じをシェアしあいました。

私の番になり、自分のお話を読み進んで行く途中、突然激しく感情が動きました。声が詰まって、涙がみるみる溢れてきて、あとの言葉が続きません。この時のことを思い返して、改めてもういちど、自分の書いた文章を読んでみました。「私ができることは聴いてあげることだけ。今も昔も私はたいしたことができな かったなあ。でも彼女はいつでも自分の未来を切り開いていく人だもの」こう書いた文章のところで泣いたのでした。そしてまた新たな涙がでてきました。

大事な友人の苦しみをなんにも助けてあげられない自分、彼女から目をそらせていたい自分、きっと立ち直ってくれるだろうという願い、そんな複雑な思いがこの部分に詰まっていて、私は苦しかったことに気づきました。私は自分が書いた文章を、自分自身が読むことで、深く私の思いに触れました。

そして表現療法のあった日から一週間も経たずに、なんと彼女からお中元が届けられました。彼女から添えられた便りは「いつもあなたから贈られてからだったから、今度は私から先に贈ったよ。もう私は大丈夫だから」そして今月私は休暇で戻ってくる彼女と再会します。だから、私が今日流した涙は甘酸っぱい涙なのです。

私はあの短い時間に物語の旅に出て、私自身に逢いました。私の感情がでている場面で心が揺さぶられました。私の中から生まれた私だけの物語は、そのまま私の現在の在りようを映していました。お話で自分をこんなふうに表現することもできるんだという新鮮な思いが、余韻として残っています。あの場で私の思いを 共有して暖かく見つめてくださった皆さんに深く感謝いたします。

Ｆ．Ｎ