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2020/02/15

こころの音色 ~日々の暮らしの中で~ 3

「おちょこ・を通して知った自分の生き方」

 

 私は週に何度か晩酌をしています。41歳を過ぎて生活習慣病なども気になる事から、糖質0のビール・糖質0の日本酒しか飲まない様徹底しています。日本酒を飲む際は、氷をたくさん入れたビーカーを小さくした様な器に氷を満タンに入れ、(時間が経つと水でアルコールが薄くなるので)その器から小さな「おちょこ」に日本酒を注いで飲みます。「おちょこ」は100円ショップで買ったものが1つ。もう数年間使っているものです。

 ある日、妻と買い物に出かけると、売り場でガラス製の「おちょこ」に出会いました。私は「素敵・・・欲しい・・・これで日本酒を飲んでみたい」という気持ちになりました。私は妻に「これ欲しいなぁ・・・」と言葉にしました。妻は「これ買ったら、今使っているおちょこは使わなくなるんでしょ?・・・今使っているおちょこが悲しむんじゃないの?」と。・・・僕はその言葉を聞いて「確かにそうだ・・・自分がおちょこの立場だったら、仕事が減ったら寂しいと思うだろう」と思い、新しい「おちょこ」を買わずに家へ帰りました。

 その後のある日、私は仕事で悩みを抱えます。「仕事がしんどい・・・休みたい・・・」などという感情が次々に沸いていきます。そんな状態で1週間が過ぎました。週末になり、私は再度妻と共に先週と同様買い物に出かけます。するとまた、先週売っていた「おちょこ」に再会します。私の中で先週と同じ様な気持ちが沸いてきます「素敵・・・欲しい・・・これで日本酒を飲んでみたい」というものです。

 先週の私なら、次に沸いてくる気持ちとして、「新しいおちょこを買ってしまったら、今使っているおちょこを使う頻度が減ってしまう。・・・仕事が減ったらおちょこは悲しいだろう・・・」です。しかし、その日の私の気持ちは「もしかして、今私が使っているおちょこは、私の都度の晩酌対応に疲労を感じているかもしれない・・・新しいおちょこが新たな晩酌のシフトに加わる事で、今使っているおちょこは休みが増えると喜ぶかもしれない・・・今使ているおちょこは、毎回晩酌で使われる事を望んでいるのか・・・晩酌対応をせずに食器棚の中で自分の時間を過ごしたいとか、食器棚の中で他の食器と会話をする時間などを欲しがっているかもしれない・・・」などの気持ちが沸いてきたのです。

 私は「おちょこ」を通して、自分に気がつきました。私は仕事をする事に対して過度な価値を感じていたのだという事に。今までの私は、今まで使っていた「おちょこ」の様な仕事ぶりで、毎回出番がある事に大きな価値を感じていたのだと。そうして、自分の気持ちや身体を労わるという事を忘れたバランスの悪い生き方をしてきたのだと・・・。

 私は新しい「おちょこ」を買いました。そして、新しい「おちょこ」と古い「おちょこ」の両方をその日の気分で使っています。休みや隙間があるという事は大切な事だと。

 

   令和2年 1月23日 (成)