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2021/09/01

こころの音色 ~日々の暮らしの中で~ 40

このところ、歯の具合が悪く、さりとて、とても痛むわけでもなく、受診する気にもならず…、が続いていました。家の近くには、なん件もの歯医者さんがあるのですが、どこに行くかが決まらず、行動に移せないで居ました。以前、受診しても原因が分からず、痛み止めを続けたり、ペイクリニックに通ったりと苦しみ、理由が分かり完治するまでに、1年近くかかった経験があります。

候補を3件に絞りましたが、分かっているのは、場所や外観の建物だけで、決め手がないまま、とうとう8月もあと少しに、なってしまいました。仕事が入っていない日なので、とにかく朝、夫に「歯医者さんに行って来るわ。」と言って、家を出たけれど、「ここ」とは選び切れては、いませんでした。しかし迷いながらも、足は勝手に一カ所の方に向かっています。 まぁこのまま行くしかないか…。

 

住宅街なので人通りがあまりない中、「どのような先生だろうか…。患者さんは多いのだろうか…。上手だろうか…。」数分で建物の近くまで来ると、前を歩いている人が、急に曲がって歯医者さんの建物に入って行きました。   ほっとしたのは何故でしょうか。

(自分の思いでいっぱいであったため、直前まで前を歩いている人に、気が付いていませんでした。) 

 

女医さんだとは、看板を拝見していて分かっていました。こじんまりとした待合室は、よく目にする映像を流す等の、見た目の設備が、整っている訳ではありません。静かな空間です。待合室からは、想像しがたい広々とした治療室には、軽い驚きがありました。治療台に座ると、目の前は緑が豊かです。長いことこの地で、開業しておられるのではと、勝手に推測しました。先生からは、ゆっくりとした物静かな口調で、丁寧な見立ての説明と、今後の治療方針を受けました。私は、自分の心の動きに何の抵抗もなく、質問をすることができました。歯の治療を受ける時には、結構な緊張感があり、体に力が入るのですが、その様なこともありませんでした。何と穏やかな気持ちで、治療を受けることができるのだろう。

 

支払いと次回の予約の為に待って居ると、先生が受付カウンターにひょっこり顔を出し、(下肢が、御不自由ながら)「暑い日が続くので、体調が悪い時は、無理をしないでくださいね。」と声をかけて下さいました。        次の予約の人がやって来ました。

 

技術面での良し悪しは勿論のこと、醸し出されるお人柄が、信頼関係に大きく影響することを、ここでも味わいました。

ベテランの域に居られる先生のお人柄と、穏やかで丁寧な関わりをされる看護師さんの、お二人の人間性が場の空気となって、患者との関係性を作り上げていくのだなぁと、帰宅してもしばらくの間、思い出されます。

 

『まちの歯医者さん』その言葉がぴったりです。

 

(若)3年8月29日 筆