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2022/10/01

こころの音色 ~日々の暮らしの中で~ 66

新しくできたお友達・・・散歩のお兄ちゃん

 

私達夫婦と愛犬ココ(黒柴5歳)は夜が明け始めた5時頃には毎朝散歩に出かけます。その帰り道で小学校高学年と思われる男子のお友達ができました。名前もお住まいも分かりませんが、お友達はゆっくりとした歩調で散歩をしています。

 

こんなに朝早くから…と気にかかった出会いの1日目、すれ違い様に「おはよう」と声がけをしました。彼は無言で小さく頭を下げました。ココを少し怖がりながらも興味がありそうでした。「大丈夫だよ」と伝えたけれど、それ以上の動きが無く別れました。以来私達は『散歩のお兄ちゃん』と言っています。

 

2回目の出会いの朝も「おはよう」と私の方から声をかけました。無言で頭を下げてくれました。ココにおそるおそる、でもとても興味がある素振りをみて夫が「ご飯やってみるか?」と声をかけました。私がドッグフードを掌に載せて、ココに与えるのを見てもらい、彼にフードを渡しました。ココはいつものようにお座りをして、2回彼の手のひらからフードを食べました。でも触ることができず、また無言で別れました。

 

3回目の出会いの朝「おはよう」と声がけすると「おはようございます」と小さな声が返ってきました。ココをじっと見ているので「お座りと言ってみて」と伝えると、小さな声でココに向かって言いました。「お座り」。ココはおとなしくお座りをしました。「フードやってみる?」と尋ねると「触りたい」と言う返事です。「手の甲を鼻の先に持っていってお兄ちゃんの匂いをかがせてね。お兄ちゃんを覚えるから」と伝えると、少し緊張した面持ちで2回手の甲をココの鼻に近づけ、続けて首の脇をそっと撫でてくれました。「ココは5歳で女の子だよ」「女の子…」

初めて声が聴けた3回目の出会いでした。彼もきっと初めて犬に触れたのかもしれません。

 

4回目の朝の出会いも「おはよう」の挨拶から始まりました。ココは話したいことがあると、口をパクパクし(前歯でカチカチと音もします。)話す仕草をする癖があるので、お友達のお兄ちゃんにも、朝の挨拶はパクパクします。お友達はココを触りたいのにパクパクが少し怖くて触れることができません。その後夫とお友達はココを真ん中に挟み並んで、1丁ほどの距離を歩きました。ココは当たり前のように歩調を合わせて歩いています。少し離れてその様子を見ながら付いていく私は何とも幸せで満ち足りた気分でした。

 

朝の散歩は人もまばらですがおなじみさんが出来ます。雨の日であったり、少しの時間のずれで、いつもの出会いをいただいている人達には会えなくなります。日の出の時間の変化に伴って出会う人達も変わってきています。お住まいもお名前も全く知らず、『散歩のお兄ちゃん』『お花のおじさん』『○○のお母さん』等と言いながら散歩に出かける時間は貴重でいつまでも続いてほしいと願う幸せな時間です。

(若)4年9月26日 筆