「ふとやってくるもの」
20年以上前の話になりますが、私が病院に就職して間もない頃、私が所属していた病院の医療相談室に定期的に足を運ばれる患者さんたちが居ました。
〇うつ病の年配女性Aさん。
〇知的障害を持っていた男性Bさん。
〇統合失調症を持ちながらも、必死に一般就労していたCさん。
皆さん、話したい事を話し終えたら帰っていきます。当時の私は、その時間に対して雑談という様な捉えをしていました。
そのため、学校を卒後して間もない私は、定期的に医療相談室に足を運んで来る3人に対して「みんな何のために相談室に来るんだろう・・・」という様な感覚で何となく対応する様になっていました。
5年、10年、15年、20年と相談業務の経験を重ていく過程で、ふと私の頭の中に湧いてきたものがありました。それは、過去に定期的に接していたAさんBさん、Cさんの表情や話していた内容です。
その瞬間、私の中に起きた感覚は「Aさん・・Bさん・・Cさん、ごめんなさん。・・・自分は、みなさんお一人お一人の存在を大切に出来ていなかった」というものでした。
相手の話しを聞いていても、その話を受け取る側の力次第で雑談に聞こえる事もあれば「大切なお話し」に感じられる事もあります。
Aさん・Bさん・Cさん共に、相談室で過ごす時間に意味があって相談室に通い続けていたと思います。当時の私は、その時間に意味を感じる事が出来ていなかったのです。
自分に中にふと湧いた感覚から、「これから出会っていく人との時間を大切にする」と強く想っています。
2024.2.10 (成)